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「あの。今から訓練の時間ですよね?」
「ん?ああ、30分後からな。」
「それって見学してもいいものですか?」
「…直ぐ近くでは出来ないけど、フェンス越しなら誰でも見ていいものだよ。」
「本当ですか!?見てもいいですか?」
「どうぞ。」
「やった!……あのっ!それってマックの君もやったりするんですか?」
「もちろん。冬馬の奴、身体を虐めるのが好きだからな。自由時間も自主練したりジムに入り浸ってるよ。」
「…ほわー…カッコいい…」
こんなに純粋。こんなに無垢。
思ったことは口に出し、疑うことはまだ覚えていない感じ。
俺は、この子に事実を告げたら泣かせるだろう。
やはり、自分の中で向き合っていかなければいけないのだろうか。
仕方なかった。
しょうがなかった。
だって命令だったから。
そういう言い訳をして過ごしてきた。
そうでなければ自分自身が壊れそうだったから。
この子の前で、そう言う言い訳など出来るはずもない。ただ懺悔がしたい。
今、この子が現れたのはきっと運命だと思う。
詰られようが、貶されようが、罵られようが、正面から向き合って謝らなければ。
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