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「消防官を知る必要ないだろ。」
「確かにそうかもしれません。だけどマックの君のお仕事のことを知りたいです。」
「知ってどうなるわけでもないだろ。君が拒否した君の思いが、そう簡単に打ち破れることはない。
心の底にあるだろ?お父さんの死ぬ光景が。」
「…ーーーっ!」
「俺の仲間が君のお父さんを見捨てた。俺だって同じ状況なら見捨てるさ。たとえ君の」
「マックの君。…もういいです。」
「……………」
「泣いてしまう。……マックの君が。」
「……!」
酷い。
そう思ったのも束の間だった。
この表情、私は知ってる。
初めてマックの君を見たときと同じだ。
何かに耐えて、堪えて、戦って。
そして、私の中で一つの結論に達した。
ポケットからハンカチを取り出すと、マックの君に差し出した。
「…そんなにご自分を責めないでください。」
マックの君の目が揺らいだ。
「私は何も知らずにマックの君を責めていたと思うんです。…バカだから気付けなかった。
ちょっとずつでも知っていけば、マックの君の言動の理由も分かる気がします。
今は何も分からない。だから知りたいんです。」
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