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その翌日の日曜日。 大分腫れは引いたものの、まだ膨れた顔をマスクで覆いつつ、消防署に向かった。 …いた。 汗を滝のように流しながら、訓練している凛々しい姿を捉えた。 マックの君。三村、冬馬、さん。 「…と………冬馬…さん。」 一人だから呟ける。 呟いた瞬間、胸がキューッとなった。 そういえば、デートの時はいつも私を気にしてくれたな、とか。 名前があるのに"マックの君"と呼ぶことだって嫌だとは言わなかった。 いつだって笑って話を聞いてくれて。 学校のことを話すのが楽しくて。 ああ。 私って、こんなに冬馬さんを好きなんだって思って。 たくさんの思い出が、胸にキューッって。 どう表現すればいいか分からないけど。 締め付けられるくらい、好きなんだって。 そう思いながら見てた。
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