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平手打ちされたところは直ぐに氷で冷やし、翌朝には腫れが引くようにするのも慣れたもの。 こんなこと、みんなに知られることの方が恥ずかしい。 「…ごめんなさいあなた。夏はちゃんと育てるわ。どこに行っても恥じないような子に育てるわ。ごめんなさい…」 「……………」 100点を取れなかった日。 私を殴ったあと、仏壇の前で父親に謝るのも見慣れた。 …心の傷は深い母。 分かっているが、受け入れられない自分。 もっと広い心で接することができたら、この母親のことも好きになるんだろうか。 …今の私は無理な話。 だからせめて、100点を取る努力はする。 それ以外出来ない。 この母親の期待すべてには応えられない。 「ナツ、昨日大丈夫だった?」 「うん!千夏ちゃんのお陰だね!ありがとう!」 「ほらね!思った通り。」 そして、大好きな人に簡単に嘘をついていく悪循環を止められない自分が嫌いだ。
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