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マスクをとって、みすぼらしい顔を晒す。 やっぱり顰めっ面になった。 …マックの君。 あなたは私にキスなんて出来ない。 それはあなたの今までの行動が示してる。 いつだって私を守ろうとする。 暗くなって外に出てると怒るし。 遅くなったら送ってくれた。 辛いことを話しても、すべて受け入れてくれて。 「…ーーーーーーッッ…」 「……満足か?」 ふと、目の前が暗くなった。 そう思った瞬間、唇に触れた。 …誤算だ。 千夏ちゃん。 マックの君は、私のことなんて、何も思ってないのが分かってしまったよ。 ファーストキス、奪われちゃった。 私がお願いしたんだけど。 ハハッ。 …言葉がすべてだ。行動がすべてだ。 私がつけたマックの君の傷、それが塞がることなんてない。 ファーストキスは、ドキドキしない。 こんなにも冷たく…悲しいもの。 触れた唇は、なんの感情もないマックの君の唇。 私の思いとは裏腹だ。 大人のマックの君。私が嫌い。 子供の私。マックの君が好き。 こんなにもアンバランスなキスだ。 私、マックの君に、ここまで嫌われてる。
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