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ーside 冬馬ー 千夏の作戦は、これほどまでに夏を純粋にさせるのか。 目の前に現れた彼女に息を飲んだ。 …やられた。先手を打たれた。 本当にあいつは頭の回転が早い。 同時に鼓動が早まる。 誰より守りたい。 誰より救いたい。 誰より純粋な君を。 誰より好きだから。 男に怯えながらも俺には心を許す君が可愛くて、自制心という理性がなければ、すぐにでも抱き締めて言ってしまいたい。 "俺は、夏が、好きだよ" 毎回告げられる俺への好意。 それは、いつも俺をドキドキさせるんだ。 こんなに愛されている。 こんなに好かれている。 だけど、俺といれば、君は傷つく。 そんな自分が許せなくなる。 君は誰より純粋だから。 他人を思いやるから。 無駄に苦しめる存在である俺から離すべきだ。
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