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テストがすべて返却された。 (…良かった…あとは全部100点…) 当たり前になっている点数。 それを確認したら、母はその日からどこかへ消えていった。 一人になったリビングのソファ座ると、目の前のテーブル置かれた札束に気付く。 これもいつものこと。 それを持って自分の部屋に行き、一枚抜き取って机の引き出しにしまう。 着替えて近くのスーパーマーケットで買い物。 野菜をたくさん、そして自分へのご褒美にアイスを一つ。 買い物を済ませると、スーパーマーケットから近い公園のベンチでアイスを頬張る。 「……………」 人と接するのが苦手になったのはいつからだろう。 多分、これも父が死んでから。 一人の方が楽だ。 自分の内に閉じ籠っていた方が楽だ。 それを外に引っ張り出してくれたのが千夏ちゃんだった。 …ちょっと、外が楽しくなった。 友達ってすごいと思えた。 自分の視野が広くなったと思えた。 学校に行くのが好きになった。 「…帰ろう…」 子供がいなくなった暗い公園。 風を感じ、虫の音を聞き、草の匂いを嗅ぐ。 目を閉じて自然の声を聞くと、自分の心が穏やかになっていく。 穏やかになったところで帰宅。
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