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これでいい。これでいいんだ。
そう言い聞かせた。…瞬間。
「冬馬さん。」
"マックの君"ではなく名前で呼ばれた。
その可愛い声に胸が高鳴った。
だけど、すぐに別の鼓動が走る。
真っ直ぐ俺を捉えた夏の目。
……何か違う。……なんだ?
俺の予想を裏切る夏の態度。
絶望で諦めるはずだ。…だがどうだ?
絶望、失望、そういうものの裏に隠れている何かを感じ、全身鳥肌がたった。
…答えが分かった?
《諦めたくないけど諦めなければいけない場合、人はどうやって生きればいいですか?》
あれか?…何のことを…?
「諦めるんです。………自分を。」
…自分を諦める?…どういうことだ?
頭がフル回転する。
が、その答えは、夏自身がすぐに出した。
"汚点"
俺を可哀想だと。笑顔を向けた。
…待って、夏。
俺は君を汚点なんて思ってない。
…母親か?
だとしても、俺はそう思ってない!
違う。…違う!違う!!
夏が弾き出した答えは、俺ではなく自分への失望と絶望。
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