6

10/75
前へ
/356ページ
次へ
瞬間、指令本部より出動命令が出た。 こんなときに、なんてタイミングだ。 笑顔が、無理してる。 誤解だよ。違う、夏。 それだけは解いておきたい誤解。 君が絶望するのは俺でいいんだ。 だが、そういう時間もなく、優先は消防官としての責務を果たさなければならない。 後ろ髪を引かれる思いで火事現場へ向かった。 頭の切り替えは出来る。 だが、緊張した時間が過ぎ、鎮火後の現場検証になると、一気に不安が押し寄せてきた。 「…冬馬!」 「は、はい!」 「警察入れろ。原因が分かった。」 「はい。」 隊長の言葉で我に返る。 仕事中に何考えてるんだ。今は夏のことを考えてると、怪我をしてしまう。 幸い、死者のいない現場だった。 それだけが救いだ。
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2885人が本棚に入れています
本棚に追加