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ーside堂本ー ずっと野球ばかりしてきた。 女の子からもモテてる方だけど、付き合ったとしても野球のほうを優先してしまって、直ぐに別れた。 だから彼女は作らない。 そう思った。 二年になって、同じクラスになった谷口。 大人しく控え目。おどおどしてるし、寂しげに俯く癖。すごく頭がいいけど、それを自慢することなく、友達思い。 そんな印象だった。 ある日の放課後、部活が早めに終わって帰ろうとしたとき、忘れ物に気付いて教室に行った。 そこにいた谷口と野々村。 『堂本とか、ただの野球バカじゃん。どこがカッコいいのか分からんし。却下。』 なんか、自分の話をされてるし。 俺だってお前なんか却下だ。 入るタイミングを失って、そう思ったとき。 『野球バカね。それって凄いことだと思う。きっと野球を愛してやまない一途な人でしょ?堂本くんって女の子にも一途な人だよ。却下とか言っちゃダメだよ?』 見たこともないほどの笑顔でそう言った谷口。 (あ、なんか、キュンってなった) それ以来、同じ笑顔は見たことない。 だけどそれ以来、意識してしまって。 気になって。好きなんだって自覚して。 だけど、野球を優先して失敗した過去が頭から離れなくて。 隣の席になって喜んだのも束の間、たまたま行ったマックであの日と同じ笑顔を見てドキドキして。 谷口を敬遠してたはずの早瀬まで、その笑顔に落ちたって分かったら、焦る自分がいて。 眠れなかった昨日。ドキドキしながら話しかけた今日。 そしてラッキーな急展開。
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