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"暗いから"とか"なんか怖い"とか。 クラスの男子は谷口なんて見てないから安心してたのに。 早瀬が出てきて。好きな人がいるらしい発言に焦っている自分。 ラッキーな急展開にマジで喜んでる。 強引に一緒に帰り、強引に電車に乗って。 「……大丈夫ですから!そんなことしてたら疲れます!いいから!」 「…男で良かった。俺。」 ドアの近くに谷口を立たせ、満員の人間から守るように腕を突っ張る。 (女子が騒いでた壁ドンってやつ?) なんて暢気なこと考えてた瞬間、電車が揺れて圧力に負け、壁ドンが手じゃなく肘に… (うわっ!近っっ!!) どうか、ドキドキが聞こえてませんように! どうか、ドキドキが聞こえてませんように! 必死に思って。必死に守って。 「!!!!」 「…堂本くんっていい匂いするね。」 …匂いを嗅ぐなよ!頼むから!! 距離が近くなったのにドキドキしてたら、谷口が俺の首回りの匂いを嗅ぎはじめてプチパニック。 「野球部終わったら水かぶってデオドラントシートで拭いてるだけ。さっぱりするから気に入ってんだよ。」 「ふーん。香水かと思いました。いい匂い。」 (だから嗅ぐな!!) …天然だ!絶対天然だ!! だけど、満員電車から谷口を守るためにはこれ以外方法はなく。
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