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「谷口。恥ずかしいから嗅がないで?」 「え?恥ずかしがるような匂いじゃないです。」 …違う!!ヤバいんだって!! 「俺が谷口の匂い嗅いだら谷口だって恥ずかしいだろ?」 「そりゃそうです。でも、堂本くんは男の子だから恥ずかしがることないですよ!」 最早、意味不明!!何の理屈だ! 「分かってないね。谷口。痴漢するよ?」 「いやーー!怖い!怖い!痴漢!!」 「アホか!するかよそんなこと!とにかく嗅がないで!黙ってて!」 「……はい。……あ、喋っちゃった。」 周りに俺たちの会話が丸聞こえ。 ちょっと笑われてる気もする。 恥ずかしいけど…この距離感が堪んない。 こんなに近付いたのは初めてだったから。 俺との体格差に、改めて女の子なんだって意識してしまう。 小さくて。 守ってあげたくなる弱い女の子。 (野球で鍛えてて良かった…) 電車に揺られて20分。 ずっと谷口を守れて満足。 「…やっと着いたな…」 「はい…あの…すみませんでした。」 駅に着くと、頭を下げて謝られて。 意味が分からず聞き返す。
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