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「…あーー…悪い。俺、ハンカチ持ってない。」 「…え?」 「汗臭いタオルならあるけど。」 「え?え?」 「もしかして気付いてない?自分が泣いてること。」 「え。」 目元に手を持っていけば、本当に濡れていて。 「…あ…わっ!」 凄く恥ずかしくなって、立ち上がって。 瞬間、腕を掴まれて、もうパニック。 「あわわわわ!!な!何です!!」 「落ち着いて。…君、ここに座って随分経つ。切羽詰まってるんだろうなって思いながら走ってたけど。 さすがに暗くなってきたから声を掛けたんだ。 泣きたいなら泣けばいい。どういう事情か知らないけど、サボってまで考えてたんだから、君にとってよっぽどのことだったんだろ?」 「……よっぽどのこと?」 「我慢せずに泣けば?」 …初めて会話したのに。 何もかも見透かすように、優しく言ってくれたマックの君。 「…もう…人は信じません…」 「……………」 「だから、優しくしないで…」 「うん。とりあえず泣けば。」 「……………」 「ここにいてやるから。」 好きな人さえ、本当に信じていいか分からない。 でも、なぜか素直に泣けた。
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