2

53/54
前へ
/356ページ
次へ
と。 突きだした手を掴まれて。 「はい。振りほどいてみて。」 叫ぶ前に、冷静な声が聞こえる。 「ほら見て。俺、親指と人差し指しか使ってないから振りほどいてみて。」 そう言われてブンブン腕を振ったり、違う手で指を抉じ開けようとしたり。 …頑張っても離れない。 「…うぅーーー!!」 「離れないだろ?」 「うぅーーー!!」 「唸らないの。…あのね、この先は細い路地ばっかりある住宅街。 もし、変な奴に捕まったら、こうして力で押さえ込まれるだけだよ? 暗い。女の子。それだけでも自覚して警戒心持たなきゃダメだぞ。」 「………え。」 「最寄り駅から家は近いの?」 「…はぁ…直ぐです…けど…」 「じゃ、駅まで送るよ。」 …あれ。 女の子扱いしてくれてる? じゃあさっきのって… 「…本当、顔に出る子だね。」 恐ろしいほどの間違い。 またドキドキ再発。 上昇と下落を繰り返す感情。 もう、苦しい。 これが恋?なのかな…
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2886人が本棚に入れています
本棚に追加