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"学費払ってやってるんだから"と母は言った。 本当は、お金なんか払いたくないってことだ。 お金を食う厄介者の自分。 どこかでバイトして、完全に自立した方がいいのかもしれない。 面倒と思われることなく済むし。 学校も辞めたいし。 「…難しい顔してるね。」 「……え?……きゃーー!ビックリした!!」 「そこまで驚かなくても…ハハッ!」 突然の声に驚いた。 いつのまにか、私の隣に腰を降ろしていたトーマさん。 タオルで汗を拭きながら、頭から水をかけた。 「…ワイルドですね…」 「運動後はこれが気持ちいいんだよ。」 「そうですか…」 スッキリした顔で滴を拭い、パッと私の方を見た。 急に目が合って、ドッキーーン!!って感じ。 「この前から深刻そうに悩んでるね。」 「え。…あの…すみません…」 「それも癖なの?」 「え?」 「"すみません"ってずっと謝ってる。悪いことしてないんだから、謝らなくていいんだよ。」 「…すみません…」 「ほら、また言った!……で?悩みがあるの?」 「…えっ!?えっと!…その、ないですよ?」 「……嘘がバレバレ。…誰か相談できる人に言ってみれば? マックで一緒にいた子、友達だろ?」 「…いえ……なんか、…分かりません…」
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