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「ナツ。ごめん。あんた、トイレでの話鵜呑みにしたんでしょ? あれ、本気でそう思ってないから誤解しないで。 …あの子らは、中学からの馴れ合いっていうか、そんな子たちで。会えばいつもあんな悪口ばっかなんだよ。 もうウンザリしてるってのもあって、いつも適当に答えてるだけだから。」 「だって千夏ちゃんは!」 「私は本当にあんたを可愛いと思ってる。 人の悪口も言わない。思ったことを言う。裏表がない。そんな純粋なあんたが大好きなの。 私に足りない何かをいっぱい持ってる。だから、ナツに足りない何かを私があげようって思った。 目劣りなんて考えたこともない。友達って胸を張って言えるのは、あんたくらいなんだから。」 「…本当?本当?」 「うん。どうせあの子らは別のところでも私の悪口言ってるんだ。 そういうの相手にする方がバカげてる。だから適当に相槌してたの。 それを偶然聞かれたから焦ったよ。説明しようにも携帯は繋がらないし。泣きそうになった。」 「…ふぇ……泣いちゃやだ!!」 「あんたが泣いてどうすんのよ。しょうがないな…ヨシヨシ。」 「だって…もう誰も信じられなくて…怖くて…」 「うん。ごめんねナツ。大好きだよ。」 「千夏ちゃん…私も大好き…うぇーん!!」 なんか分からないけど、スッと胸に入っていった言葉だった。 信じたいって思うのは怖い。だけど、千夏ちゃんの傍にいて、ずっと見てきたから分かる。 今の千夏ちゃんが、真剣な目で私に訴えてるってこと。つまり、誤解を解きたくて堪らなかったってことが…。
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