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ちょっと話しただけでも分かる。 純粋。 この子の辞書に"奸智術数"という言葉はないだろう。 今どき珍しいほど、思っていることが言葉や行動に出てくる。 嘘をつくのも下手くそ。 ある程度の壁を保ちながら話を聞くも、好き好き光線が俺に当たりまくって。 (…マジ…勘弁しろよ…) 意識しているのが分かる。 俺も意識しまくってる。 …でも、俺は大人。 だから、恋に恋する時期であることを忘れない。 もし君が本気なら… と願いを込めて、一つの課題を設けた。 日曜日。 (…こいつ、本気だ…) 楽々クリアしてきた。 会いに来てくれた。 ガキの恋愛とか、そういうのは考えない。 一人の女として接していこう。 でも、ここまで純粋な子だ。 何事にも忍耐が必要になるだろう。 話を聞き、谷口夏という子の心の奥まで見て、彼女に合わせてゆっくり距離を縮めよう。 と。決めたのに。
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