2887人が本棚に入れています
本棚に追加
飯を食い終わったところで携帯が震えた。
見れば、事務的な挨拶。
あの子のことだ。きっと、男に送信するのも緊張しただろう。
その情景が安易に思い浮かび…
「宗司。冬馬がにやけてる。」
「…何だよ。ちゃっかり連絡先交換してるし。」
「…っるせーな。いいだろ。」
「乙女か。お前は!キモい!」
「…同じこと言うな!!」
「「はぁ!?」」
「うるさい!…帰る。ごちそーさん。…薫。」
「何で俺の奢り!?何で?」
ギャーギャーうるさいbarを後にして、外で返信する。
《いいえ。今日は楽しかったよ。
ゆっくり休みな。おやすみ》
「…何カッコつけてんだ?俺。」
返信を打って、直ぐ既読表記。
待ってたんだと、また顔が緩んだ。
それからは平日続きで会いに来れないのは分かってる。
…が。
彼女の座っていたベンチに目がいく。
…参ったな。本当にやられてる。
自分から何でも言い合おうと言っておきながら、決して口に出せないような自分の職業。
「どうすっかな…」
心は求めてるのに。
理性でタガをかけている。
彼女が傷付くのが分かってるから。
最初のコメントを投稿しよう!