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呼ばれる度に、『奇人変人』を連想する…。
「いいじゃねぇか、鬼神!俺だってよぉ、そんな通り名みたいなやつ欲しいって思うわけよ」
縞さんが、鬼神……。
想像してみて、頭の中に浮かんできたのは……。
「………小鬼?」
「その口、今すぐ塞いでやろうか?この野郎。誰が小鬼だ!誰が!節分の鬼みてえな扱いしてんじゃねーよ!」
いや、もう、トラ柄パンツの縞さんしか思い浮かばねぇ。
笑いそうになるのを必死に堪え、煙草を吸って、気持ちを落ち着かせる。
縞さんを怒らせると、とんでもなく厄介だ。
俺の中の『この人は怒らせないようにする』リストに、縞さんの名前もしっかり記載されている。
「ったく!犬が犬なら、飼い主も飼い主だなぁ!揃いも揃って、先輩様に対する態度がなってねぇ!失礼極まりない奴らだよ、お前らは」
「は?」
真顔で返すと、縞さんは「あぁん?」と因縁をつけてくる。
「犬だよ、犬。お前に懐いてる、大型犬。しっかり躾けろよなぁ。そこは飼い主の責任だろうがよ」
犬と言われれば、一人しか思い浮かばない。
浮かばないが……。
「……犬なんて飼った覚え、一切ありませんけど?」
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