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「あ?ありゃ、誰が、どう見ても、お前の犬だろ。ご主人様にしか懐かねえ、可愛げもへったくれもねえ、狂犬」
「阿呆犬なら、俺じゃなくて、若頭が拾ってきた犬なんで。責任押し付けられても、筋違いってヤツですよ」
吐き捨てるようにして言った俺の言葉に、縞さんは鼻で短く笑って一蹴する。
「そう思ってんのは、お前だけだっつーの。あいつ、俺に『縞さんって、よく先輩と連んでますけど、そこ、俺のポジションなんで。少し遠慮して下さいね?まぁ、背丈だけは必要以上に遠慮気味ですけどね?あ、怒らないで下さいね?ちょっとした、軽い冗談なんで。本気にするなんて、大人気ないですよ?』なんて抜かしやがったんだよ、あの野郎!!俺の方が先輩だっつーの!!いっぺん泣かすぞ、クソガキが!!」
………あの阿呆。
縞さんに、そんな暴言吐いて、よく殺されなかったもんだ。
命知らずな奴っていうより、ただの阿呆だな、阿呆。
「まぁ、遠慮なく、あの世に飛ばしてやって下さい。あの阿呆」
「お前……ちったぁ、情けとか、同情とか無いわけ?あんなに懐いてんのに」
情け?
同情?
阿呆に憐れみなんぞを抱く縞さんに、思わず短い笑い声が出る。
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