鬼神

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*鬼神・1* 「誰に断り入れて走ってやがる!!近隣の皆さんに迷惑だろうが!!」 午前二時。 深夜で、人通りの少なくなった大通り。 そんな場所で、それこそ近所迷惑だろう大声で喝を入れたのは、縞(しま)さんだ。 縞あきら、三十歳。 かなり低い身長と、やや吊り目な童顔が特徴の三十路のおっさんだ。 どう見繕っても、高校生……下手すりゃ中学生に見える。 熱血漢な縞さんは、曲がった事が大嫌いな、ちょっと面倒くさい性格の持ち主で、今も、何処ぞの暴走族に喧嘩を吹っ掛けているところだ。 「あぁ?何だ、ガキんちょ。寝んねの時間は、とっくに過ぎてんぞ」 案の定、縞さんの見た目に油断した暴走族のガキ共は、ニヤニヤとカンに触る嫌な笑いを浮かべながら、次から次へと路肩に大きなバイクを停めて降りて来る。 ぞろぞろと集団でやって来たガキ共は、あっという間に俺達を囲んで、大きな輪を作った。 ………つか、俺、関係ねぇし。 ちらりと縞さんを見やると、ガキ共の態度に腹を立てているのか、それとも、この状況に興奮しているのか、目をキラッキラさせながら、ぐるりと視線だけで周囲を見回す。 「知らねえのか?ここは公共の道なんだよ。誰に断り入れろって?ガキは帰って、母ちゃんのオッパイでも吸ってろよ」
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