鬼神

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「だって、お前の後見人、組長じゃねーか。大学出るまで、家で世話になってたし。家族も同然だろ」 「……まあ、そうですけど」 ロクでもないガキだった俺を、引き取り育ててくれたのが、須崎組の組長、須崎虎徹(すざき こてつ)、その人だ。 大学を卒業するまで面倒を見て、家族同然に育ててくれた、俺の大恩人だ。 「だからって、何でもかんでも知ってるとは限らねぇでしょ。組織に関する事柄なら、尚更ですよ」 「そうだけどよ……なぁーんか、そういうのって水くさいっつーか、切ないよなぁ」 熱血漢の塊のような縞さんは、義理人情に厚い。 家族愛だとか、友情とか、そういったモノに凄くこだわる。 「そんなもんでしょ。気にしてませんし」 「お前、相変わらず冷めてるつーか、ドライな奴だな」 呆れた顔をする縞さんを横目に、煙草を一本咥えて火をつける。 「誰がなるか、気にならねー?」 「興味ないです」 紫煙を吐き出しながら即答した俺を、縞さんは更に呆れ顔で見た。 「お前、ちったぁ欲とか野望とかねーのかよ」 「そう言う縞さんは、どうなんですか?」 「俺?俺は、ねーだろ。切り込み隊長だぞ?前線に出る奴が、奥に引っ込んでどうすんだよ」
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