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「縞さんなら、結構いけると思いますけど?」
喧嘩は強いし、何より人望がある。
表裏のない真っ直ぐな性格に、なんだかんだと面倒見がいい、正義感の強い縞さんを慕う連中は沢山いる。
「馬鹿言え。俺が本部長ってガラかよ」
結構、本気な俺の言葉を、縞さんは鼻で笑う。
「まあ、貴島(きじま)さんが有力候補でしょうね」
貴島弘毅(きじま こうき)。
若頭補佐の一人で、若頭の信頼を一番得ている男だ。
性格は冷静沈着で、頭も切れるし、喧嘩も強いから人望もある。
何より、あの存在感。
幹部の中じゃ、一番だろう。
「俺は、お前だと読んでるんだけどな」
縞さんの突拍子もない発言に、思わず足を止める。
「……それこそあり得ないですよ。冗談言うなら、もっと笑えるネタにして下さい」
「あ?冗談なんか言うかよ。東じゃ敵なしって言われてる『鬼神』様のくせしてよ。お前の崇拝信者が、うじゃうじゃいるの、知らねー訳でもねえだろ」
揶揄うような口調に、思わず溜息が溢れる。
「……やめて下さいよ、その呼び方。それと、人を、宗教の教祖みたいに言うのも無しで」
誰が付けたのか知らねえが、『鬼神』だなんて、ダッセェ名前……。
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