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「雅~。向こうで皆と食べようよ~。」
始業式翌日のお昼休み。
愛野が私の机にかじりつく様に項垂れ、ジタバタと体を揺らしていた。
「嫌。誰かさんと一緒にいたくないから。」
と、冷たく言い放ち私はそっぽを向いた。
「そんな事言わないでさぁ~。あ、雅の大好きなクリームパン買ってこようか?ね?」
「結構です。お弁当持参していますから。」
昨日の一件で私と愛野は絶賛冷戦中。
と、いっても一方的に怒ってるのは私だけだけど。
「っ…、雅のばーか!」
「なっ…!?」
ベッと舌を出して捨て台詞を吐く愛野が、泣き真似をしながら窓際で固まりお弁当を広げる女子グループの元へ駆けて行った。
昔から度々こうやってケンカをする事を知っている何人かの女の子達が「よしよし、どんまい」なんて、愛野を慰め笑みを浮かべていた。
お灸を据えるじゃないけども、時にはこうやって厳しくしなければ愛野様のオモチャとして振り回されっぱなしになっちゃうんだから。
「はぁ…」
静かになったのは良いけれど、進級早々一人ぼっちのお昼休みだなんてお弁当作ってくれたお母さん悲しむな。
そんな事を考えぼんやりしていたその時。
背後からガタッと椅子を引く音がした。
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