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「上原さん、購買行ってたんだ。って、イチゴミルクだけ!?少食なんだね!」
振り返り話しかけた相手は、自己紹介の時に挨拶を交わした上原こずえちゃん。
少し様子が違って見えるけど、
これは仲良くなれるチャンスだ。
「あ、あのさ。良かったら一緒にご飯食べない?」
深く俯いたままピクリとも動かない上原さん。
「う、上原さん?」
声が聞こえない距離でも無いのに、目の前の彼女はなんの反応も返してはくれない。
その時
後方からなにやら騒がしい集団が教室へと戻ってきたのだ。
「佐山、てめぇ割り込んでんじゃねえぞ!そのカレーパン俺んだろ!」
「トロい方が悪いんだよ。はい、いただきまーす。…お、美味いなコレ。」
男の子達の中心に、相変わらず目立つ佐山の姿。
二日目にして転校生のオーラゼロ。
その順応性の早さに驚く私の横を、
「ハルくん、パン買えたんだ~!?いいなぁ、こずえ人混みに流されちゃって…ホラ。飲み物しか買えなかったんだぁ~。ちょっと、ちょうだい?」
上原さんが凄い早さで通りすぎ、佐山目掛けて一直線。
彼の腕に抱き付き、
「お願い」と、さらに甘えた声で額を寄せた。
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