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「ふ、ふざけてるんですか!?それとも、何かの罰ゲーム?……それなら私、貴方のこと一生軽蔑する!!」
無意識に手の内に握り込んだスカート。悔しさにギュッと力が籠る。
期待には応えられない。けれど、告白してくれた気持ちは素直に嬉しい。
だから、誠心誠意向き合いたいと思った。
……それなのにちゃかすだなんて……。真剣に聞いた私がバカみたいじゃない!
「……ごめん……、可愛い」
「へ?」
「今井さん。怒った顔もすんげぇ可愛い」
「なっ!?」
眉を曲げて反省したのかと思えば、今度は目尻をクタリと下げて嬉しそうに笑った彼。大人びて見えた真顔とは正反対に、笑うと子供っぽい。というか……、憎たらしい。
「目に入れても痛くないって……、きっとこういう事なんだろうな。今井さんの全てが愛しくて愛しくて仕方ない」
……よくも、そんなキザな台詞をサラリと。そもそも人の話聞いてるのか疑問。
「も、もういい!そうやってからかうなら私教室に戻るから」
今日は高校生活最後の年、その大事な一日目だ。こんな、調子狂わされる変な男のせいでHRに遅れる訳にはいかない。絶対に嫌だ!
コンクリート地面に、片足を半歩分擦り付け私は彼に背を向けた。
「あっ……」
バタバタと世話しない足音、慌ただしい風が私の横上を吹き抜け
「ちょっと待ったあ!」
その大きな声に、ハッと顔を上げた私の行く手に、体で‘’大”の字を表現する彼が立ちはだかった。
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