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つかつかと革靴の音を立てながら美国部長がやってくると、コピー機の方を向いていた私の顔を後ろから覗き混んできた。
「今から、アンタの家行って良いだろ?」
その意味深な発言に浜崎部長が口をパクパクして、私と美国部長の顔を交互に見る。
そりゃあ、仲が最悪だと噂されている二人が家を行き来するなんて考えられないと思う。
「あの……まだ仕事が終わらなくて」
「今終わった」
美国部長は無理矢理コピー機の電源を落として私を睨む。
気持ちはもう、サンタと会うことしか考えていない。
「ち、地山……いいぞ。帰りなさい」
「浜崎部長、でも」
「良いから帰りなさい」
部長も美国部長の視線が強くて汗を吹き出しながら懇願するような目で言う。
「もう。本当に信じられないです」
「煩いな。お前だけずっと長くサンドリヨンと一緒にいる癖に」
「勝手すぎます。大体同じ部署に狼くんが居るのに何で先に私の所に来ているのですか!?」
「ああ、忘れていたな」
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