プロローグ

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小さな喫茶店のデザインコンペで、有名建築デザイナーを差し置いて私のデザインが選ばれた。 その帰り道、嬉しくて機嫌良く歩いているといつもは通らない道の公園で猫を拾った。 あの夜からだ――。 「貴方が同じ職場にいると思うと苛々します」 人に興味を示さない冷徹な王子は私を否定した。 「お前、先輩に謝れ!」 飛びかかった狼くんを止めようとした瞬間に転けた私は眼鏡を盛大に割ってしまった。 仕事用の特注牛乳瓶の底のような眼鏡を。 私を嫌う彼と私を慕う後輩。 それは恋に落ちる瞬間、本性を現してくる。 もう私は逃げれなかった。
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