五、キスだけでも貴方は良いですか?

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怖かったけれど、でも隠せなかった。 「部長に押し倒されてもこんなにドキドキするんなら――狼君にされたらもっとドキドキするんだろうなって」 「は?」 「美国部長のお陰です。免疫もないし狼君にとっては面白くない相手かもしれませんが私はとても嬉しいですっって――痛い! なんでほっぺたを抓るんですか!」 無言で頬を抓ると、美国部長は手を振る。 「今日はもう帰る」 「帰るんですか!?」 「ああ。今日の所は、な。持久戦にすることにしよう。俺だってサンドリヨンとは運命の相手だからな」 ヒラヒラと手を振った美国部長は、私とサンタを振り返りもせずに玄関の方へ歩いて行く。 コレは見送るべきなのか、それとも最後に油断して奪われても大変だとか思いつつも、サンタをリビングに閉じ込めて、美国部長に後を追う。 「あの、サンタは私の運命の相手ですが、きっと部長にも運命の相手は現れますから、また現れるまで――」 「こいつがいいって思ったんだよ。言わせるな」 その瞬間、振り返った美国部長が私の肩を掴んだ。 「こうすれば、免疫のないお前でも分かるのか」
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