五、キスだけでも貴方は良いですか?

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「狼君っ」 「今、美国部長と入れ替わりで入って来たけど、大丈夫でした? 何かされた?」 慌てる狼君を見て、色々深く考えそうだった私の心は晴れやかになる。 「ううん。大丈夫。サンタを手に入れる為に私に間接キスしてきただけだよ。 もう大丈夫」 「全然大丈夫じゃない。俺の恋人だってちゃんと忠告したのにあいつ」 スーツの上着を脱ぎながら、狼君が悔しそうに呟く。 「大丈夫だよ。美国部長にドキドキしたとしてもそれは狼君にはもっともっとドキドキすることってことだから」 そう乱暴に教えてくれたのは、まぎれもなくあの美国部長だったから。 「良く分からないけど、――俺は美冬を信じてるよ」 優しく私にキスをしてくれた。 消毒と言って、甘えたように舌で舐めるのはちょっとだけ可愛いなって思ってしまった。 駄目だ、 私、こんな乙女全開ムードでこんな考え方も出来るんだって自分の事なのに良く分かっていなかった。 それも全部、みんな全部、狼君が教えてくれたんだって思う。
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