五、キスだけでも貴方は良いですか?

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「美冬」 「うん」 「キスしていいよね?」 「ぷ。今したのに、してから聞くの?」 「うん、一応ね。で、キスだけでいい?」 この先の、美冬が知らない世界を、俺が美冬に教えてもいい? その言葉に一瞬固まったけれど、ゆっくりと頷いた。 狼君は、ネクタイを緩めながら、足元でガリガリとまとわりついているサンタを抱きあげて鼻先に口づけを落とすと、猫ベットへサンタを下ろした。 そのまま、私の眼鏡を外して――ゆっくりとキスをする。 最初は額に。 次は瞼に。 鼻に。 唇に。 次々と落とされていくその口づけに、心臓が跳ね上がり、身体が大きく揺れる。
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