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「今から――俺は悪い奴になります。朝起きて、『先輩』が今まで作り上げてきたもの全て壊してしまってもお願いだから俺の存在だけはどこかに残して下さいね」
「ぷぷぷ。……うん」
でも、どうすれな良いのか分からず右往左往する私を、狼君は簡単に抱きあげるとそのまま嬉しそうに寝室へ向かう。
「全て俺に下さい。――美冬を全て俺に」
その言葉に、目を見開いたのは、さっきの美国部長の言葉の意味に今気付いたからだ。
けれど、気付いた時にはもう遅かった。
私は全て狼君に上げたかった。
昨日部長にされたことは、きっと狼君にされたら、もっともっとドキドキして、
私の世界は壊されてしまうから。
それでも私はそのキスをねだる。
ベットに押し倒された時に見たのは、狼君のどちらか分からない大きな尻尾と大きな耳。
そして私なんか簡単に丸呑みしてしまうような牙が、夜の月に浮かんでいた。
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