一、くつした履いた猫?

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私が所属していた『地山ライフデザイン』の社長であるおじいちゃんが、田舎に帰って農業を始めたいと言ったのがそもそもの始まりだ。 そこに所属していた私は、フリーでぼそぼそ建築やオフィスデザインを続けていこうと思っていた。 自宅で引きこもれるならば、それはそれで幸せだったし。 私が手掛けた建築デザインと言えば、幼稚園や公園ぐらい。それすらもおじいちゃんのコネだったもん。 「仕事……行きたくない」 スマホの画面を覗きながら、その時間をみて溜息しか出ない。 朝の会議まで、40分切っている。 行きたくない。行きたくないよ。 おじいちゃんの会社は、二階建の小さな事務所だったんだもん。 人だって、8人しかいないし、楽しかったのにな。 不貞寝をしようかと枕の皺を手で伸ばしてたら、インターフォンが鳴ると同時にスマホに着信があった。 『着信:狼くん』
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