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駅から降りるとすぐに見える大型ショッピングモール。
その15階から上は様々なオフイスが入っていて、私と狼君が所属している『aspiration- The global boutique design studio』は、15,16,17階にある。
建築デザインから、ブランドロゴ、映画やブランドのパンフレット、様々な分野のデザインを手がける大手の会社で――どれぐらい人が働いているのか未だに私は分かっていない。
警備員が立っているロビーが苦手だった。
綺麗な受付の女の人が会釈してくれるのも、息が詰まった。
値踏みされているような空間が、私になんて居場所がないように思えた。
エレベータを待ちながらも、帰って猫グッズに溢れた部屋でゴロゴロしたい衝動に駆られる。
「私のデザインなんてマニア向けなんだから、フリーで働きたいな。辞めたい」
「それ、耳にタコ。今の仕事を全て放棄する先輩なんて先輩じゃありません」
「狼くんが思う先輩像って」
言いかけた瞬間、エレベータが開いて乗り込もうとした私は目を丸くした。
今にもキスしそうに顔を近づけた男の人と女の人が、開いたドアからこんにちはしていたから。
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