第一章:一節

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【某県某市・I高等学校付近】 雪が降り、指先が悴む(かじかむ)程寒い夜中。 暗くなった空の下に広がるネオンの街並みと、其処から一線を引いたかのように真っ暗な村。 何方からも離れた小高い丘から両方を見下ろす人影が佇んでいた。 全身を黒一色で染め、月光のみの光を浴びるその人物は、黒いマフラーを鼻まで上げ、目を細めた。 フードとマフラーの間から覗く、透き通った紫の瞳が冷徹に煌めく。 黒のグローブをした右手を月に掲げ、拳を握る。 「.....“ゲーム”が、始まる」 小さく誰に言うわけでもなく、呟いた言葉は誰の耳にも入ることは無かった。
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