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『兄ちゃん!!』
―キキキー...ガシャーン
『涼太ぁぁぁ!!!』
ある年の夏。ある日、弟は交通事故で亡くなった。いや、交通事故に遭いそうになった俺を助けて死んだ。俺が、気をつけていれば涼太は死ななかったのに...
―ピピッ、ピピピ
「湊、起きなさい?今日は涼ちゃんの命日よ。」
「知ってるよ。今着替える」
俺の名前は及川 湊(高2) 涼太が生きてたら、中3
年は二つ俺のほうが上。
涼太は優しくて、顔は童顔だな、きっと、モテると思う。
そんな、涼太の命日か..
俺は着替えると、母ちゃんと父ちゃんの車に乗り涼太の墓に向かった。
「涼ちゃん、いつでもおいでね」
母ちゃんは手を合わせるとそうつぶやいた。
「じゃぁ、俺寄り道して帰るから」
「わかった。早く帰って来なさいよ」
寄り道っていっても遠回りして行くだけ。
そのつもりが..いつの間にかあの事故の場所に足が向いてしまう。
俺は、近くの花屋で花を買い、近くの電柱に置くと手をあわせあの時の出来事を思い出した。
脳に生々しい映像が再生される。
「..っ...!!」
涼太..
「お兄ちゃん、」
「!!」
―バッ!!
「りょ、、う、た??」
「泣かないでよ(苦笑)」
俺、夢見てんのか?
「よかった。お兄ちゃんには僕が見えるんだね」
「夢じゃ、、ないのか??」
「うん。僕、幽霊としてだけど、会いにきた」
「いつから...」
「僕のお墓のところ」
「気づかなかった」
「そりゃね。見えないようにしたんだもん」
「すげーな」
「でっしょー?」
信じられない。死んだはずの弟と話ができるなんて。
「僕ね、お母さんにもお父さんにも見えてないんだ。お兄ちゃんしか見える人はいない。そーゆー契約だから」
「契約ね?」
「だから、これからはある時が来るまではお兄ちゃんの近くにいるから」
「ある時?」
「うん、ある時だよ。ま、よろしくね」
にこりと笑ってそう言うと、幽霊になった弟には掴めない俺の手をつかむふりをした。
つづく
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