第1章

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小さい頃から、物事に関しては思いついたらすぐに実行していた。うまくいかないことがあれば、どうしてそうなるのか納得のいくまで調べた。 この執着心が私自身を困らせていた。一つのことにこだわると、多少の問題があろうと、推し進めようとするのだ。 今回だってそうだ。一つのことに執着するあまり、こうなってしまった。 今更遅い後悔だった。 肩をがっくりと落としたまま、帰り道を進む。 冷たい月を反射する道路を見ながら、角を曲がろうとしたときだった。 路上に手のひらサイズの小さな紙が落ちていた。 私はそれを拾い上げ、目を通す。 茶色く風合いのある紙には、こう書かれていた。 『境界違いにお悩みのあなたへー 只今特別セール中!! ~くろのひげ~』 なんとも胡散臭い広告だ。どうせ、開運グッズだとか言って物を売りつけてくるのだろう。 私は、ふんっと鼻で笑うと、コートのポケットにポケットティッシュサイズの広告ををつっこんだ。
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