第1章

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静寂を保っていた森が一瞬にして騒ぎ出す。 「フューレン!そっち行ったぞ!おい!フューレン!!」 青年が何かを追いかけながら叫ぶがフューレンと呼ばれた者は姿を現さない。 青年は整った顔を歪ませ舌打ちをした。 背丈は小柄な方だが加速した足は早く軽やかに木々を避け駆け抜けていきながら横目で再度フューレンが現れないことを確認する。 「ちっ、小娘が」 愚痴をこぼしても何も始まらない。目の前のモノを捕獲するのに集中を戻した。 今は旅の収入を得るためバイト中。 エルフという妖精を捕獲するのが報酬の課題だ。 エルフは自然が豊かな場所にしかいない妖精で、好奇心旺盛で悪戯好きだ。 街の作物を食い荒らすエルフが現れたためそれを捕まえるのだが…ちっこいし速いしで…朝から1匹も捕まりやしない。 距離が縮まってきて捕まえるために飛び込もうとしたら、茶髪が目に入りブレーキをかける。 「どけっ!ライツ!!」 「え?」
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