第1章

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惚けた声でわかる…こいつは退けと言われてすぐ退ける者ではない。 あえなくライツと呼んだ茶髪とぶつかり、骨同士が打つける鈍い音が響いた。 「いってぇぇぇぇ!」 石頭とはこういう事だ。痛さが物語っている。 額を抑えしゃがみ込み、エルフを追うことを諦め今夜は野宿だと溜息をつく。 「すみませんロイエン!大丈夫ですか?!」 声に反応し顔を上げると、石頭ことライツがフードの下でおどおどしている。つか… 「なんでテメェは無傷なんだよ。」 「す、すみません!僕、無意識に防御系の魔法使っちゃってて」 さらにオドオドするライツにイライラするロイエン。 ロイエンはぶつかった頭を押さえながらイラつきを溜息と共に吐き出すが、ライツは更に怒らせてしまったと思ったのだろう。慌てて頭を下げる。 「すみませn」 「謝るな、オドオドすんな。俺らは必要以上にお前を責めたりしない。」 立ち上がり自分より背の高いライツの頭を撫でてやる。 ライツは最近仲間になったばかりだ。 一緒に旅しているフューレンが何の前触れもなく連れてきたのだ。「懐かれちった」と言いながら。 まるで大型犬を拾った気分だったが「捨ててきなさい」と言える程人間落ちぶれていない。 フューレンが言うには、今にも死にそうだったとのこと… まるで、虐待を受けた子供のようにライツは人と関わるのが苦手で謝ることが癖らしい。 身長はでかい癖に精神は未熟だ。 「わかったか、デカ物」 「は、はい!」 「つか!!!」 ロイエンが急に声を荒げるのでライツは肩を飛び上がらせた。
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