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「どうしてですか、父上!」
拘束され地べたに座ったまま、目の前に立つ父上に叫びかけるが、父上はこちらを冷たい目でにらみつけながらこう言った。
「私はお前の父になったことなど一度もないのだが。
気安く父などと呼ぶな」
父上が近づいてきた。
「まあこれから<存在>しなくなるのだからな。手向けに教えてやる」
父上が僕の頭をつかんだ。
その手は大きかった。
まるでこのまま握りつぶされそうな感覚におちいるほど。
「お前という存在は<私たち>にとって、大きな危険因子なのだ。
それが目覚める前に処分するのは至極当然のことだろう?」
言葉の意味はよくわからなかった。
でも少なくとも、父上が――――この男が僕のことなんかどうでも言いと考えていることはわかった。
そうか・・・・
結局今までの仕打ちも全部自分たちのためだったのか。
自分の中で感情の渦が湧き上がってくるのがわかった。
でもこの中の大部分は悲しみじゃない。
初めて味わう感覚。
内側から燃え上がってくる感情の渦。
自分の中で何かが吹っ切れた。
もう家族の柵とか、家名のこととかどうでもいいや。
こいつだけは許さない。
いやこいつの他の家族もだ。
今まで見て見ぬ振りをしやがって。
絶対に許さない。
自然と涙が出てきたが、そんなことは気にも留めず男をにらみつける。
男は口端をあげた。
「さらばだ」
僕はありったけの大声を出した。
「お前らなんか絶対に殺してやる!!!!」
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