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朝、僕はいつものように中学校に登校し、学校に到着して下駄箱で上履きに履き替えていると「おはよう」と麻衣が元気に声をかけてくれた。
僕も「おはよう」と返事をした。
麻衣は毎朝、にこにこと笑顔で声をかけてくれる、元気で明るい女の子だ。
でも麻衣には、悲しい出来事があった。
小学校の頃の冬のある日、不注意でストーブの上に置いてあったヤカンの熱湯を全身に浴びて、大火傷をおってしまったのだ。
彼女は夏、体育の水泳の授業で、やけどで水膨れのようになった肌をさらけ出すことになっても、ごくふつうに周りのみんなと接していた。
そんな麻衣を見て僕は「なんて強い子なんだろう…」と思った。
運動会の紅白対抗リレーで、僕は3年生代表の白組のアンカーとして走ったが、赤組走者に抜かれてしまった。
僕ががっかりして落ち込んでいると麻衣が近寄ってきて「ひろ君は、よく頑張ったよ」と励ましてくれた。
僕は、嬉しかった。
中学校の卒業式の日、僕は麻衣に声をかけた。
「麻衣、20歳の麻衣の誕生日に、電話するね」
麻衣は「何で?」と不思議そうに聞いてきた。
僕は「何となく」と答えた。
自分でも、このときなぜこのようなことを口走ったのか、わからなかった。
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