第1章

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「違う…」 髪型が似ているだけの、まったくの別人だ。 何時間も無駄にしてしまった。 でも、あのおばさんを責めたり恨んだりは出来ない。 困っている人を助けたいと思い、なんとかひねり出した答えなのだろうから。 焦心を押さえ、また捜索へ向かう。 今度は、花と同じ年代の若い女性に声を掛けた。 「うふふ。お兄さん格好良いね。背高いし」 女性はにやにやと顔を見上げる。 「この写真の娘なんですけど…」 「ふーん。身長何センチ?」 「156です」 「違うよ。お兄さんの」 「183です」 「私、163。奇遇だね。私の方が合ってると思わない?」 「…ありがとうございました」 わけの分からない返答に困り、写真をしまって立ち去ろうとすると 「待って、知ってる」 呼び止められた。 「本当ですか?」 「本当だよ。私を楽しませてくれたら教えてあげる」 知らないな。そう直感した。 「結構です。さようなら」 「何よ。彼氏に言い付けてやるんだから」 後ろからそんな声が聞こえる その彼氏とやらも災難だな。 この話を聞かされて、いったいどんな反応をすればいいのか。 花、早く会いたいよ。 僕には君だけだ。
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