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「違う…」
髪型が似ているだけの、まったくの別人だ。
何時間も無駄にしてしまった。
でも、あのおばさんを責めたり恨んだりは出来ない。
困っている人を助けたいと思い、なんとかひねり出した答えなのだろうから。
焦心を押さえ、また捜索へ向かう。
今度は、花と同じ年代の若い女性に声を掛けた。
「うふふ。お兄さん格好良いね。背高いし」
女性はにやにやと顔を見上げる。
「この写真の娘なんですけど…」
「ふーん。身長何センチ?」
「156です」
「違うよ。お兄さんの」
「183です」
「私、163。奇遇だね。私の方が合ってると思わない?」
「…ありがとうございました」
わけの分からない返答に困り、写真をしまって立ち去ろうとすると
「待って、知ってる」
呼び止められた。
「本当ですか?」
「本当だよ。私を楽しませてくれたら教えてあげる」
知らないな。そう直感した。
「結構です。さようなら」
「何よ。彼氏に言い付けてやるんだから」
後ろからそんな声が聞こえる
その彼氏とやらも災難だな。
この話を聞かされて、いったいどんな反応をすればいいのか。
花、早く会いたいよ。
僕には君だけだ。
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