0人が本棚に入れています
本棚に追加
「あんた、こんな店には来ない方がいい
んじゃないの」
彼女が店内に一人残された気弱な男に声
をかける。
親切心から助けた訳ではないのかな。
思いつつ、
何度か声を聴いていて確信した。
「ねぇ、君さ。
プラネタリウムでナレーションしてたで
しょう」
「……してましたけど。
だから?」
答える直前にした一瞬の表情を、
僕は見逃さなかった。
彼女の左耳に光る紅石。
退屈な日々の中で、
鳴呼。
束の間、
僕を慰めてくれる羊を見つけたと思った。
最初のコメントを投稿しよう!