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突如発せられる、少女の意見。
それは聡明なコハルにとって、息を呑んだ瞬間であった。
「蛍さんは、一週間で死んでしまうようです。蝉さんと同じですね。」
覇気のない声が、尚コハルの心を痛めつけた。
この子は、何をされて育ったのだろう。
まだ自分より幼いというのに、どうしてこんなにも大人びた発言が出来るのだろう。
コハルはどうしてもリルの味方で居たいようで、膝を折ってしゃがんでから強く抱擁した。
「リル、私はいつでも味方…あなたの味方」
「こんな厄病神の傍に居たら、不幸になってしまいます」
「いや、やだ…。私、お姉ちゃんなんだから。守ってあげたい」
「……」
より一層、つよく抱き締められた時リルは反射的に抱き返そうとしていた。
しかし、幼い頃の記憶が蘇ると共に、目の前にいる義理の姉の身体を抱き寄せる事は困難だと気づく。
涙をも垂れ流す事が儘ならない、少女はコハルを引き離すと淡々とした口調で言い放つ。
「帰りましょう」
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