1159人が本棚に入れています
本棚に追加
両手を広げた樹丈の額に汗の玉が浮かんでいた。
ぎこちない笑みを浮かべる。
「ヴォル、こ、こりゃあ、ちょっとした遊びで……」
その最後の言葉の口の形で、樹丈の動きが止まっていた。
「速い……」
理沙には動きが見えたらしい。
『将五はノ?』
見えませんでしたけど、何か?
『まだまだじゃノ~』
俺はまだ本気出してないだけなの!
……う、嘘じゃねぇよ?
コホン! 話を続ける。
ヴォルヘイムの姿が消えていた。
抜き放った剣の切っ先を、樹丈の背中に当てている。
最初のコメントを投稿しよう!