第18話【何者であろうとも】

2/6
前へ
/475ページ
次へ
 両手を広げた樹丈の額に汗の玉が浮かんでいた。  ぎこちない笑みを浮かべる。 「ヴォル、こ、こりゃあ、ちょっとした遊びで……」  その最後の言葉の口の形で、樹丈の動きが止まっていた。 「速い……」  理沙には動きが見えたらしい。 『将五はノ?』  見えませんでしたけど、何か? 『まだまだじゃノ~』  俺はまだ本気出してないだけなの!  ……う、嘘じゃねぇよ?  コホン! 話を続ける。  ヴォルヘイムの姿が消えていた。  抜き放った剣の切っ先を、樹丈の背中に当てている。
/475ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1159人が本棚に入れています
本棚に追加