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感情を隠すのが下手な紅葉は、それでも俺の問いかけには答えてくれた。
だが、それは意外な答えだった。
「危険だからだ」
「【青銅の竜】が……ということですの?」
鈴子も首を傾げている。
青銅の竜についてはいいも悪いもない。ただの目標であったことは、鈴子も承知しているのだろう。
人間、道がそこにあれば、どこに続いているかは気になるが、なぜそこに道が出来たのかは気にしない。
それに少し似ている。
「そうであるとも、そうでないともいえる」
ここで、紅葉は足を止めて一気にこう説明した。
「迷宮の主は青銅の竜だ。だが、迷宮からはモンスターたちが、いつも湧き出ている。冒険者たちが、迷宮の奥を目指す過程で、モンスターを倒すこと自体がメビウス・シティ、しいては、地上の安定に繋がるんだ」
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