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『つまり、将五はあの様な老人、しかも死者となり、朽ちかけの肉体しか持たぬもの相手に紙一重だったわけじゃノ。……弱くね?』
……それ、いう必要あんのかよ。
九尾の突っ込みに、俺はかなりげんなりしつつも、今、目の前にある事実に向き合っていた。
頭を下げた……もう、幽霊といってしまおう。頭を下げた老人の幽霊の正体は、予想通りだった。
『いかにも、ワシがルバーラントのロスコーじゃ』
面頬で顔が見えなかったが、今はロスコーの顔が見える。
白い髭を蓄えた、威厳のある表情。
英雄と呼ばれるのに相応しい顔立ちだった。生きる苦労を、全部飲み込んできましたって顔していやがる。本当に俺が勝てたのは、かなりのハンデを貰っていたからだろう。
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