第64話【英雄の最後】

3/5
前へ
/475ページ
次へ
『流石は英雄というところかノ……』  ああ……。 『アグン・ブロンテ……やつを倒すために、このワシが何もしないわけにはいかんな』  ロスコーの姿が輝き出す。  表情が苦悶に歪む。 「お、おい、爺さん。無理すんな……」  俺の声をかき消す様に、ロスコーは気合いの雄叫びをあげた。  すでに崩れ落ちたロスコーの死体が動き出す。いや、死体が動いているのではない。  死体が握っていた刀が宙に浮かび上がる。浮かび上がるにつれ、それを握っていた手から離れ、ロスコーの朽ちた肉体は再び地面に崩れ落ちた。 『我が愛刀【桜花】。ワシは今から、全ての気をこれに注ぎ込む。若人よ。名はなんと申したか?』 「桜井将五だ」
/475ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1159人が本棚に入れています
本棚に追加