第11話【カレーの話はもういいや】

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 まぁ、俺たちも、誠治のくだらない用事で、少しだけ一緒に迷宮に潜ったことがある程度だけどな。  鈴子も健人も、岩清水の精巧に作られた仮面に遠慮のない視線を送っている。  俺も理沙も、初めてこいつを見たときには同じ様なリアクションだったから、気持ちはわかる。  見たことがあっても、ご飯を食べている時に、背後に立たれ、振り向いたらチーターの仮面。心臓が口から飛び出るほど驚ちまう、と。  それほどよく出来た仮面なのだ。  初見のやつらに注目するなという方が、無理である。 「や、ご無沙汰だねっ。元気してたかな。桜井将五くん、高橋理沙さん」  片手を高く上げて、岩清水は笑っている。  もちろん、仮面で表情はわからないので、声から判断するとだが。
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