第12話【若者は声が大きい】

2/5
前へ
/475ページ
次へ
 目の前、数センチ。  チビ九尾が、ふわふわと浮かんで、俺の顔を覗き込んでいる。 『で、一体どんな冗談をいうつもりだったんじゃノ?』  顔、近ぇから……。  え?  それはいいから、いおうとした冗談はなんだって?  タイミング逃した冗談を、もう一回いうほど、俺の心臓は強くねぇよ。  さて、俺の取って置きの冗談を、永久にお蔵入りさせてくれた、真面目なお声の持ち主。  そいつは男。  服装は黒のズボンに、上には丈の長いコートを羽織り、頭には鉢巻き。背中には日本刀を背負い、鋭い表情で岩清水を睨んでいる。
/475ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1159人が本棚に入れています
本棚に追加